「今日から君はホスト部の犬だ!!」

えっ、ちょっとそんなのありですか?


非日常


「わあぁっ」

あの、運命の日から三ヶ月あまりがたったある日。ハルヒは自分の奇声で目を覚ました。

今では、雑用からホストへ昇格し、

最初は慣れなかったホスト部員としての生活にも、だいぶ慣れてきたはずだった。

「はずなんだけどなァ・・・・」

ハルヒは呟きながら起き上がる。

また、あの日の夢を見てしまった。

ハルヒにとって、あの日は悪夢の始まりの日だった。

今日は朝から夢見が悪い、そう思って着替えようとパジャマを脱ぐと

寝汗でぐっしょりだった。

よほど、怖い夢だったらしい。

そして、ハルヒは男物の制服に腕を通す。

本来なら女子の制服を着なくてはならない筈の性別のハルヒだったが、

そこはいろいろ込み入った事情があるのだ。

本人はさほど気にしてはいないが。


「行ってきます」

夜の仕事のため、起きるのが遅い父の為に

朝食を用意して、ハルヒは家を出た。母は、病死しているために父と二人暮しなのだ。




「はくしっ」

電車を乗り継いで、ようやく校門前まで来たときに

ハルヒはくしゃみをした。

「風邪かな・・・?」

昨晩、遅くまで勉強していたのがいけなかったのかもしれない。

もうすぐ、テスト前だ。奨学特待生として

この学校に入学しているハルヒとしては、首席の座をあけわたす訳にはいかない。

帰りにマスクでも買っていこうかな、と考えていると、後ろから肩を叩かれた。

「おはよっ、ハルヒ!」

「おはよー、ハルヒ」

振り向くと、いたのは常陸院の双子だった。

「おはよう。光、馨」

彼らは同じホスト部の仲間で、クラスメイトでもある。

流れ的に三人は一緒に教室に向かう。

双子が昨日、殿にあーした、こーしたと喋っている。

すれ違った女生徒がこちらを向いてきゃぁきゃぁ騒いでいる。

ハルヒは双子には曖昧な返事を返し、女生徒に返す挨拶にもどことなく元気がなかった。

やっぱり、今日は調子が悪いのかな。

ハルヒはぼんやりと考えた。

その日はなんとなく、授業にも身が入らず、気がつくと終業のベルが鳴っていた。



「今日、お前ずっと寝てたろ?」

HRが終わると、馨が声を掛けてきた。

「えっ、ハルヒがか?珍しい」

光も、びっくりしたように顔をのぞきこんでくる。

「あぁ、うん。昨晩、ちょっと寝るの遅くて」

今日はずっと寝てしまっていた。テストも近いのだ。仕方ない、

今日はちょっと、図書室で勉強していこう。そう考えたハルヒは、

双子に声を掛けた。

「今日は図書室寄っていくから先輩達に言っといて?」

「分かった。でもあんまり遅くなるなよ?」

「殿の機嫌が悪くなるからな」

双子の返事を聞いてから、ハルヒはちょっと小走りで図書室に向かった。

しかし、図書室でもなんとなくぼうっとしていた

ハルヒはいつのまにか、深い眠りについていた。



(わっ、もうこんな時間)

目が覚めると、あれから一時間はたっていた。

今からじゃ、何をされるか分からない。だが、無断欠席するわけにもいかず、

ハルヒは鞄をつかんで図書室を飛び出した。


「すいません、遅れました」

ハルヒが音楽室の扉を開けると、思った通り先輩達の声が飛んできた。

「遅いぞ、ハルヒッ」

「ハルヒ、お客様がお待ちだ。早く準備を」

「はい、すいません」

他の部員は既に、接客を始めていた。

ハルヒは急いで、奥でお茶の準備を済ませると、女生徒が待っているテーブルへ向かった。

椅子には、可愛らしい女生徒が二人座っていた。

「すいません、今日はお待たせしてしまって・・・」

ハルヒは申し訳なさそうに二人の顔を覗き込む。

すると、二人は可愛らしい顔をぽっと赤らめる。

「いいのよ、そんなこと・・//」

「それより、ハルヒ君。お顔の色が悪いみたいだけど、大丈夫?」

いえ、平気ですよ、とハルヒは返事をしてにっこり笑う。二人はまたもや、顔を赤くした。

だけど、やっぱり今日は頭がぼうっとする。そんな事を考えていたハルヒは、

注いでいた紅茶をこぼしてしまった。

「きゃっ」

「わっ、すいません!」

ハルヒは急いで、床にこぼれた紅茶を拭こうと勢いよく

椅子から立ち上がった。

その瞬間。

「きゃあぁっ!ハルヒくん!!」

頭がくらりとして、ハルヒは床に倒れこんでしまった。

「どうした、ハルヒ!?」

「ハルちゃん、大丈夫!?」

部員たちが急いでこっちに駆けつけてくる。

ハルヒは大丈夫ですよ、と立ち上がろうとしたのが

頭がひどくぼうっとして、意識がとうのいていくのがわかった。



「そういえば、ハルヒ朝から具合悪そうだったもんな」

「どうりで、ずっと寝てたわけだ」

「馬鹿者ッ!!!それならそうと早く知らせんかッ!!お父さんは死ぬほど心配したんだぞッ!?」

「タマちゃん、うるさいよ?ハルちゃん起きちゃうじゃない」

「・・・(こっくり)」

「環、お前別室で待機するか?」

「!!!」

「ん・・・?」

ハルヒが目を開けると、部員たちが心配そうにハルヒの顔を覗き込んでいた。

「あれ・・・?みんなどうし・・・」

ハルヒが声をだすと、とたんにみんなの顔が輝いた。

「「ハルヒ!!」」

「ハルちゃんっ!大丈夫!?」

「・・・(ほっ)」

「目を覚ましたか?ハルヒ」

「えっ・・・、みんな、なんでっ・・・」

「ハルヒィィ!!大丈夫か!?」

ハルヒの声を聞きつけて、さっきまで隅っこでいじけていた環が抱きついてくる。

不思議そうにオタオタしているハルヒに、鏡夜が説明をしてやる。

「ここは保健室だよ。お前がいきなり倒れるから、モリ先輩が運んできてくれたんだ」

「えっ、でも部活は・・・」

「みんながあんまり心配して聞かないから、今日のお客様には帰っていただいたよ」

「そうなんですか・・・、ごめんなさい」

しゅんとしたハルヒの様子に、部員達は頬を染める。

「えへへ、ハルちゃん可愛い〜」

ハニー先輩がくしゃくしゃとハルヒの頭を撫でる。

「あ・・・、モリ先輩。今日はすみませんでした」

ハルヒが頭をさげると、モリも、ぽんとハルヒの頭をなでた。

「ハルヒ、今日はもすこし休んで行けよ?」

「帰りはウチの運転手に送らせるからさ」

双子も心配そうに声を掛ける。ハルヒが微笑むと、ぽん、と後ろから鏡夜に頭をたたかれた。

「だ、そうだから安静にしときなさい。熱があるそうだ」

そういうと、鏡夜はいまだハルヒにへばりついて泣きじゃくっている環を引っぺがす。

「じゃぁ、俺は失礼させて貰うよ。ハルヒ、今日のペナルティはまた後日だ」

「あっ、あっ、ハルヒっ!お父さんまたお見舞いに行くからなーっ!!」

鏡夜は嫌がる環を引きずっていきながら、保健室を出た。

「そーだ、ハルヒ。あれは姫達からの贈り物だぜ?」

光が指差す方には花束やら、お菓子やらが山積みになっていた。

「うわぁ・・・」

「ちゃんとお礼言っとけよ?」

ハルヒはあれのお返しのことやら、ペナルティのことやらを考えるとちょっとめまいがした。

「もうっ、ヒカちゃんもカオちゃんもハルちゃん、疲れてるんだから喋ってちゃだめよ?」

「・・・(こっくり)」

「「へーい」」

ハニー先輩にそう言われてようやく双子も黙る。

「ハルちゃん、お寝んねしよーね?」

ハニー先輩がハルヒの顔を覗き込んでくる。

その様子が可愛らしいので、ハルヒは、はい、と

笑いながら返事をする。

保健室は静かになって、ハルヒも目をつむる。


あの、運命の日から三ヶ月あまり。

平和とは言い難い日常だが、別に悪いわけではない。


   - 終 -
author : どらどらさん

Comment
もう、謝るしかないです。
こんなもの送りつけてスイマセン。
全然キャラつかんでないし。殿が見事に出番ないですよ。
しかも文章おかしいです。
だけど、書くのだけは楽しかったです。
あはは・・・、すいません。


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