南校舎の最上階
北側廊下のつきあたり

〜第三音楽室〜

ガチャッ

「ハルヒ遅い!」
「ハァ、スイマセン…」
遅れてきたハルヒを一喝したのはホスト部部長の須王環。自称キング。
あたりを見回すと、環を中心になにやら会議をしてるらしい。
「何してるんですか?」
『クリスマスパーティーの計画立ててんの』
ハルヒの質問に見事なハモリで答えたのが双子の常陸院光・馨。禁断の愛がウリ。
「え?今年もやるんですか…?」
ハルヒは去年のクリスマスパーティーで大トロを食べ逃したり、足をねんざしたり、ファーストキスを女の子としたり…など嫌な思い出がある。第一、イベント事に興味のないハルヒは出たくないな〜…と思った。


「あのー…自分は欠席で…」
「全員参加だぞ?」
と、鏡夜。鏡夜はホスト兼店長をしている。ハルヒ曰く影の王。
「ハルちゃ〜んv今年もケーキ一緒に食べよう〜vv」
うさぎの人形を抱いてハルヒに歩み寄ったのは埴之塚光那。通称・ハニー先輩。とても18歳には見えない容姿。
「………」
光那の横で一言も喋っていないのが銛之塚崇。通称・モリ先輩。寡黙さがウリ。
「ハァ…」
ため息をつくハルヒ。
こんな感じで、クリスマスパーティーへの準備が始まった。


************************************************


「やっぱダンスだよな」
「あとは去年もやったカジノでしょー」
「景品もつけて…」
双子と環はクリスマスパーティーについて計画中。

「あ、去年ってハルヒに女装させたんだっけ」
「ああ、したね」
「/////」
環は回想で赤面。
「なに殿赤くなってんの〜?」
「や〜らし〜」
「なっっ!!!」
環をからかっていた双子、なにか思いついたようだ。

『女装させて遊びたくなってきた』
「は…?」
双子の見事な意見一致に、ただびっくりする環。
『殿はここで待ってて』
「え?!おい、お前達ー…」

双子はハルヒを捕まえどこかへ行ってしまった。



ガチャッ
 しばらくしてハルヒと双子は戻ってきた。

『と〜のっ』
「お前ら、どこ行ってー…」
 環は双子の声がする方へ振り向きながらあ然とした。

「あ〜ハルちゃんかわいい〜vv」
「……」
「どうしたんだ?その格好。」
「ハァ。光と馨に無理矢理…」

ハルヒは光・馨に無理矢理、女装させられたのだった。

中学生の時のような髪型の鬘をかぶり、花柄のホルダーネックのワンピースを着、ミュール履いたハルヒはどこからどう見ても女の子。

(か、かわいい…!!!)
声には出さず、1人興奮する環。

「もう、何でこんな格好…」
少々呆れ気味のハルヒ。

「なんで?似合ってるよ?」
「上出来でしょ、殿?」
まるで環に見せ付けるかのように、光・馨は両サイドからハルヒに抱きつく。

しかし、ハルヒはそんなこと全く気にしない。
(早く帰りたい…)と、全然関係ないことを考えていた。



「って、お前ら!!ハルヒから離れろォ!!!」
『やだよーん』

環はハルヒを自分のところへ寄せようとぐいっとハルヒの手を引っ張る。

ガクンッ

「え?」
とたんにハルヒはバランスを崩しー…

グギッ

ハルヒは転んでしまった

「いっ…いた…」



「ハ、ハルヒ?!大丈夫か!?」
「ハルちゃんっっ」
「足、くじいたのか?」
「そうみたいです…」

どうやらハルヒは足をくじいたらしい。

『モリ先輩!!保健室に!!』
「えぇ?!モリ先輩、大丈夫ですってばー…」

ハルヒの言葉も耳に入らず、モリ先輩はハルヒを担いで保健室へ行ってしまった。

「ハルちゃん、大丈夫かな〜?」
うる目のハニー先輩。

「も〜、殿がハルヒの腕引っ張るから〜」
「そーそー」
「なっっ!!お前らがハルヒにくっつくからー…」
そう言いつつも環は責任を感じていた。

「そんなの関係ないって」
「あ〜あ、こりゃ殿嫌われたんじゃないの〜?」

「…!!」
双子の追い討ちプレイに、落ち込む環。


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そうこうしているうちに、ハルヒとモリ先輩は戻ってきた。

「あ、ハルちゃんと崇〜」
『おかえり』
「足は大丈夫なのか?」
「はい。捻挫でした。 あ、モリ先輩ありがとうございます」
「……」


「……」
一方、隅っこの方でいじける環。ハルヒに謝りたいが、なんとなく謝りにくい。
(嫌われたのかな…)と、ずっとその事ばかり考えている。

「あれ?先輩は?」
環がいないことに気づいたハルヒ。

「あーいいのいいの」
「隅っこの方でいじけてんの」

「っむ!!いじけてなんかー…ハ、ハルヒ、さっきはー…」

『ハ〜イハイハイハイ』
環が謝りかけたところで光・馨が邪魔をする。

「ハルヒに怪我させた人は近づかないでね〜」
「ハルヒの捻挫が治るまでハルヒに近づかないでね〜」

「っは!?」
突然双子の言い出したことにびっくりする環。

『だから、ハルヒの捻挫が治るまではハルヒに近づくなって事』

「なんで勝手に…」

 抵抗する環に双子は環の耳元で言った。

「まぁ、近づくなって言わなくてもハルヒに嫌われたかもだしね〜」
「近づけないかもね〜」

「!!!(やっぱり嫌われた…!?)」

こうして、勝手ではあるが双子の「ハルヒの捻挫完治まで殿を近づけさせない会」は結成された。
そして、環は勝手に嫌われたと思い込んでいた。


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次の日ー…

「自分でやるからいいよ」
『ダーメッッ』
双子とハルヒは移動教室のため、廊下を歩いていた。

ハルヒは車イス。双子はそれを押している。

「車イスなんて…そんなたいした怪我じゃないのに…」
「転んだりしたら大変だろ〜?」
「そーそー」

と、同じく移動教室のため移動中の環と鏡夜に出くわす。

「あ…ハルヒ」
環はハルヒに嫌われたと思い込み、元気がなかった。

「あの…ハルヒ…」
でも何とかハルヒに話かけようとした環だったが…

『バカ小姑は近づかないで下さ〜い』
と、双子は車イスを速く押して行ってしまった。

「ちょ…っ 2人とも速いってば…っ」
『いいのいいの』

ハルヒと話せず、さらに元気のなくなる環。
「…母さん…」
「環、遅れるぞ」

鏡夜に相手にしてもらえず、もっと元気がなくなる。


**************************************************


〜放課後〜

ハルヒは部活のため双子と一緒に第三音楽室へ向かう。

ガチャッ

「あ〜ハルちゃんvv 車イスなの?」
「……」

ハルヒ達に歩み寄ってきたのはハニー先輩とモリ先輩。

「ハァ…べつになくてもいいんですけど…」
『だから、ダメだってば』
「足は大丈夫〜?」
「大丈夫ですよ」

「まーそう言うけど、安静にしてたほうがいいんじゃない?」
「ハルヒここにいなよ」

と言って、4人はクリスマスパーティーの準備をしに行ってしまった。

みんな忙しそうである。
 ハルヒと約1名、隅っこの方でいじけている人を除いてー…

隅っこの方でいじけているのは環である。
部長であるにもかかわらず、何もしていない環に鏡夜は声をかけた。

「環、仮にも部長なんだから」
「……」

「ハルヒに直接嫌いって言われた訳じゃないだろう?」
「……」

ハルヒに直接言われた訳でもないのに1人落ち込む環に鏡夜は呆れてため息をつく。



一方、環が自分のことで落ち込んでいるとは知らないハルヒは違うことを考えていた。

(ただここに居るだけだったら帰った方が…それ言ったら光と馨にダメって言われたんだけど)

今日のおかずは何にしよう、など考えていた時

ハルヒは何かを発見。
 近くにハニー先輩のうさちゃんが落ちていた。

(あれってハニー先輩の…)

あそこじゃ誰かに踏まれると思い、ハルヒは拾おうと思った。

しかし、手の届く距離ではない。
 ハルヒは歩いて取りに行こうとした。

そんなハルヒの行動に気づいた環。

実は、ハルヒの服が車イスに引っかかっていた。
そんなこと気づかず、ハルヒは立とうとした。

グッと引っ張られ、ハルヒはバランスを崩しー…

「わっ…」

「ハルヒ!!!」


ハルヒはバランスを崩し、転ぶはずだった。

しかし、何かに支えられ転ばなかった。

 ハルヒを支えたのは…

「せ、先輩…?」

 環である。

「ばかっ!!車イスがあるのに何で車イスで行かないんだ!!」

いきなり1人で怒る環。 きょとんとするハルヒに、環は我に戻る。

「って言っても、こうなったの俺のせいだけど…あの時腕引っ張ったからー…」
「……?」

「ごめん…な?」


いきなり支えられ、怒られ、謝られ、何が何だか分からないハルヒ。
 

「…なんで謝るんですか?」

「は…?」
 環はハルヒの言い出したことにびっくりした。

「だって…捻挫…」

「捻挫したのって先輩のせいじゃないですよ? あの靴履きなれてなかったし、考え事してボーっとしてた自分も悪かったし…。」

「え?え? 俺のこと嫌いじゃ…?」
「え。べつにそんな事言ってませんけど…?」

「へ…」

環は嫌われているというのは自分の勝手な思い込みであったことに気がつき、唖然とする。


「先輩…?」
 
同時に、環はあることに気がつく。
   【嫌いじゃない⇒好き】

あまりにも単純すぎる思考だが、環はそのことが頭から離れず赤面してしまった。

びっくりしたり、慌てたり、赤くなったり、おかしい環の行動にハルヒは思わず笑ってしまった。

「先輩、どうしたんですか?」

ハルヒの笑った顔の可愛さと、嫌われてなかった事実と、自分の勝手な思考で喜んだ環はハルヒに思い切り抱きついた。

「ハ、ハルヒィィィ!!!」

「ぎゃーヘンタイー!!」
『セクハラキングを捕らえろ!!』
「だってハルヒが好きって…」

勘違いしている殿に、双子は呆れたように言う。

『あのねぇ殿、嫌いじゃないって言っただけで好きとは言ってないよ?』

ガーン…


誤解も解け、一安心した環でしたが、
その後、自分の勝手な勘違いと「セクハラキング」に、隅っこの方でいじける環の姿が見られたー…
というのは言うまでもない。



   - 終 -

author : やすかさん

Comment
小説、初書きでした…文とかめちゃくちゃだと思います…(って言うかそう)
 って…モリ先輩喋ってな〜いっっ!!(汗)
あ、あと殿をセクハラキング呼ばわりしてしまいました…殿ファンの方、ごめんなさい。
こんなもの送りつけて申し訳ないです;;


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