「お早う、父さん」

やっとたどり着いた居間。

俺の予感は的中していた。


須王家の食卓 - 後編 -


「どうしたんだ?そんなトコにつっ立って」

「鏡夜・・・・・?」

ショックでつっ立っている俺に話しかけてくるのは。

オイ、鏡夜。

何なんだ、そのフリフリエプロンは。

俺は口をあんぐり開けて鏡夜の姿を見る。

当の本人は、優雅に新聞をめくりながら珈琲をすすっている。

やめてくれ・・・・。

俺の視線に気づいたのか、鏡夜はこっちを向く。

「どうした?あんまり見ると母さん恥ずか

「やめろ」

・・・・・・・。


なんだか頭が痛い・・・・・。

ショックのあまり固まっている俺の耳に聞こえてきたのは

あの聞きなれた声だった。

「あれ?朝から痴話ゲンカ?」

「ラブラブだね〜、まったく」

常陸院光、馨。  こいつらもか・・・・。

俺が馬鹿なことを抜かす二人を一喝しようとすると、またしてもキャラの激しく壊れた鏡夜が

「こら。光、馨。あんまりからかうと母さん恥ずか

「やめてくれ」

鏡夜・・・・、本当にそんなに耳まで赤くしないでくれ・・・。

男だろ・・・・・・?(いや、母さんか)

俺はちょっと、泣きそうになる。

それはそうと。俺は、くりんと二人の方を振り返る。

「お前ら・・・・なんでこんなトコに・・・・」

そう俺が言うと、なんだか二人はとっても傷ついた顔をする。

「父さん・・・・、息子の顔忘れちゃったの・・・?」

「いくら、馬鹿だからって限度があるだろ・・・?」

息子!?こいつらが!?

冗談じゃない!というか学ランかよ!!

なんだか、まだまだ出てきそうで俺は嫌な予感に身震いする。

「あれぇ〜〜〜?二人ともどうしたのぉ?」

「・・・・・・(オロオロ)」

後ろから聞こえてきた可愛らしい声に俺が振り向くと、

ランドセルを背負ったハニー先輩と

学ランを着て、ハニー先輩を肩車しているモリ先輩がいた。

「!?」

「兄さん!」

「父さんが苛めるんだよ!!」

そして、双子は泣きそうな顔をしてモリ先輩の懐に飛び込んだ。

そんな二人の頭をハニー先輩がよしよしと撫でている。

そして、俺の方をキッと向く。

「パパ!息子を苛めたらめっ!だよ!!」

「・・・・・(めっ)」

「えっ!!??」

一応、先輩である二人に言われて俺は焦る。

「「うわぁ〜〜〜ん」」

双子は激しく泣きじゃくる。先輩達は俺の方を睨み付けたままだ。

というか、オイ双子。

さっき、こっちみてニヤリと笑ったろ。

俺が険悪な雰囲気に一人オロオロしていると、

後ろから天使の声が聞こえてきた。

「みんな何してるんですか?ご飯冷めちゃいますよ?」

「ハルヒ!!!!!」

「お早う、ハルヒ」

「「ハルヒ、おはよー」」

「ハルちゃん、おはよう!」

「・・・・・・(おはよう)」

ハルヒが現れたとたん、みんな俺の事はほったらかしで

ハルヒのそばに駆け寄って行く。

そうか。という事はこいつらみんな兄妹なんだ。

俺はみんなにちやほやされているハルヒを見ながらぼうっとそんな事を考えていた。

!?

ということは待てよ!?

みんな兄妹→鏡夜も男→家族みんな男→男は野獣→

という事は・・・・・・・・・・。



「ハルヒ!!!ここは危険だ!!」


「「「「「は?」」」」」

「・・・・(?)」

「いいから!俺と一緒に逃げるんだ!!!」

「はっ!?ちょっと待っ・・・!」

ここにいちゃ娘が危ない!!

俺は急いでハルヒの腕をつかんで外に出ようとした。

が。

「あなた!どこへ行く気だ!?」

「ちょっと、父さん何してんのさ!!」

「ハルヒの手ぇ、離せって!」

「パパ!ハルちゃん、痛がってるよ!!」

「・・・・・・(威嚇)」

狼共が、邪魔をしてくる。

「黙れ!お前らみたいな危ない奴に、娘が任せられるか!!」



「「「「「危ないのは、あんただ!!!」」」」」(ごもっとも)


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆





「・・・・・・という夢をみたのですが」



もはや音楽室は冷め切っていた。

双子は明らかに俺を馬鹿にした目をむけてくるし、

ハニー先輩にも笑顔がない。

モリ先輩は目すら合わせてくれないし、

心なしか鏡夜のこめかみには、青筋がピクピクと浮かんでいるような気がする。

何よりも、ハルヒはもう、俺を地球外生命体を見るような目で見てくる。

「さぁ・・・・、帰るかな・・・・」

「そうですね・・・」

「・・・崇ぃ、ケーキ食べる?」

「・・・・・・・・・(こっくり)」

「おい!!みんな!!!」

俺は、散らばってしまったみんなに声をかける。

「待ってくれよォ!!」

絶叫する俺に、双子が声をかける。

「・・・・つーかさぁ、殿馬鹿じゃないの?」

「いや、馬鹿はいまさらだろ、馨」

「黙らんか!!!お前らが聞いたんだろうが!!!」

そうだ。大体、この双子が悪い。

モリ先輩って夢見るの?とか言い出すからだ!!(気になるじゃないか、そんなの!!)

話はいつの間にか、夢暴露大会に発展し、

俺も仕方なく告白した。(言わなきゃ双子に何をされるか分からない)

やっぱり、あれは夢だったのだ。

「あっ!ハルヒ帰っちゃうのか!?」

「・・・・・・・・・・・・先輩も早く帰ったらどうですか?」

ハルヒは冷たい目で俺を一瞥すると、音楽室を出て行ってしまった。

「ハルヒィィィ・・・・」

「あ〜あ、殿呆れられたね」

「明日から、普通に会話してくれるかな?」

「うるさいわ!!!」

・・・・・俺はとことん報われないらしい。


   - 終 -
author : どらどらさん

Comment(後編)
私、アホですね。
もう、なんとでも言ってください。
鏡夜先輩壊れまくりです!スイマセン!!!!!
ハニー先輩は長男です。私としては。
絶対みんな、シスコンです(力説)
だけど殿、夢なんか適当にごまかしとけばいいのに・・・・。
私の中では彼はとことん馬鹿な人なんです。
ごめんなさい。
モリ先輩は夢をみるのか?という疑問から始まった一作です。


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