放課後の図書室。

藤岡ハルヒはテスト勉強に励んでいた。

そして。

「あーもう、やってらんねー」

「ハルヒー、遊ぼーぜ?」

常陸院の坊ちゃま達は、二人でハルヒの邪魔をしていた。



常陸院兄弟の華麗なる午後




「あーもう、うるさい!」

ハルヒは我慢できなくなって、机をバンと叩いた。

普段なら、めったに声を荒らげることなどない彼女だったが、

双子が三十分ほど前からずっとこの調子だったので

いい加減、我慢の限界に来ていた。

「だって、つまんないんだもん」

「もう、いいじゃん。ハルヒ、どっか行こうぜ?」

二人は悪びれる様子もなく、なお主張を続ける。

「一緒にテスト勉強したいって言ったのは光達でしょ!」

ハルヒは苛々した様子で、また教科書に目を戻す。

双子たちは、それを面白くなさそうに眺めている。

そうなのだ。

ただいま桜蘭高校は、期末テストの真っ最中。

しかし勿論部活はある。

だが、明日はテスト最終日とあって、

部活はいつもより早く切り上げられていた。

これは助かったと思ったハルヒは、部活終了後

図書室で勉強することにした。

ところがそれを聞いた双子たちが、自分達も一緒に勉強したい

と言ってきたのだ。

普段授業中など、二人の寝ているところか、自分を横から、からかってくる

姿くらいしか見たことがなかったので、珍しいなぁと感心したハルヒは、

快くOKしてしまった。

だが。

案の定、二人は十分とたたないうちに飽きてしまい、

今に至るのだ。



「なぁ、ハルヒハルヒハルヒ!!」

「遊ぼ遊ぼ遊ぼ!!」

放課後ということもあって、ハルヒ達三人しかいない図書室には

二人の声がうるさく響き渡る。

ハルヒはもう、二人を黙らせることは不可能だと諦めて、

無視を決め込んでいる。

「なぁっ、ハルヒ!」

「遊ぼって!!」

双子はなおも諦めず、声を大きくしてハルヒに話しかける。

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

何を言っても完全無視のハルヒに、双子はとうとう黙り込む。

やっと、諦めたか。

ハルヒは安心して、数学のテキストの方に注意を戻した。

だが。相手はあの常陸院兄弟である。

(こうなったらさぁ、馨)

(うん、強行手段に出るしかないよね?光)

二人は、双子ならではの息のあったアイコンタクトをかわすと、

テスト勉強に没頭しているハルヒの後ろに回りこんだ。

そうとは知らないハルヒは、ひたすらシャーペンを動かしている。

目を合わせて、ニヤリと笑った二人がハルヒに飛びつこうとした

その時。


「こらぁっ!お前ら、何するつもりだぁ!!」


怒りの形相で、環が図書室のドアを蹴り飛ばして入ってきた。

「は・・・?先輩・・・?わっ!」

「えっ、殿?って、わぁ!」

「なんでここに・・・。わわ!」

どったーん

環のいきなりの登場に面食らってしまった双子は、

勢い余ってハルヒ共々、床に倒れこんでしまった。

「こっ、こらぁっ!何をしとるかお前ら!!」

「い、いたぁ・・・・。何なの、二人とも・・」

「うるさいなぁ、殿がいきなり入ってくるからでしょ〜?」

「そうだよ、大体なんでここにいんのさ」

双子は今の状態に別に驚きもせず、文句を言う。

一方ハルヒは、倒れた拍子に頭をしたたか打ち、

頭をさすっている。

そんな三人の状況を見て、環だけが一人慌てた様子でまくしたてる。

「黙れ!お前らがハルヒと一緒に図書室に行くというのを聞いたから

ずっと見張っていたんだ!!

それより、いい加減ハルヒの上から離れろォ!!!」

「うわー、サイテー殿。立ち聞き?」

「しかも、覗きだよ。やーらしー」

「アホか!!お前らいい加減にしろ!」

ちっともハルヒから離れようとしない双子に、環は焦る。

ハルヒからも言ってやってくれ!、とハルヒに意見を求めた。

が。

「ふぅん・・・・。立ち聞きしてたんですか・・・」

「!!!!」

ハルヒの冷たい返答に環は焦って弁明しようとした。

「ちっ、違っ・・・・。これは・・・!」

「しかも覗きって・・・、最低ですね」

「!!!!!」

ハルヒの攻撃に大ダメージを受けた環は、

ショックで固まっている。

「ほら、ハルヒ」

「大丈夫か?」

その間に双子達は、ちゃっかりハルヒの手を取って

起き上がっていた。

「大丈夫かって・・・・。二人のせいでしょ?」

ハルヒはことごとく勉強の邪魔をされて不機嫌である。

「まぁまぁ怒らない♪」

「おわびにこれから遊びに行こうぜ♪」

一方双子達は、やっとハルヒに勉強をやめさせることができ、

上機嫌でからから笑っている。

ハルヒはそんな二人に腹がたって、机の上の教科書などを

鞄に詰め込んで言った。

「もう!いい加減にしてよ!付き合ってられないから帰る」

そしてすたすたと図書室を出て行ってしまった。

「わっ!ハルヒ!?」

「わゎ、ちょっと待てって!」

双子は予想以上に怒ってしまったハルヒに慌てて、

急いで後を追おうとしたが、目の前で扉を閉められ、見事額をぶつけてしまった。

「「っ〜〜〜〜〜」」

さすが桜蘭高校ともあって、そのやけに豪華な扉に額をぶつけたとあれば、

痛さも相当なものである。

「はっはっは!いつもいつも、ハルヒにへばりついているからそうなるんだ!」

額を押さえて痛がっている双子に向けて、環が勝ち誇ったように言い放つ。

どうやら、今の出来事をみて復活したらしい。

「殿・・・・・・・・・・・・・」

「・・黙んないと、怒るよ?」

すごい形相でそう言う双子に、環は半泣きになった。

そして、いつかの喧嘩の時のようなブスッとした顔で、

双子達は帰路についた。










次の日の放課後。

常陸院兄弟は、誰もいない第三音楽室で、何やら

ヒソヒソと話し合っていた。

「さすがに昨日はやりすぎたかな?」

「ん〜。やっぱ謝るべきかなぁ」

昨日の事をさすがに反省した双子達が、

ハルヒに謝ることを話し合っているのだった。

今日はテストで話す機会がなく、またハルヒはいつものように

図書室に勉強しに行ってしまったため、

ずるずると、放課後まで謝るタイミングを逃してしまったのだ。

「謝るんなら馨が先に謝ってよな」

「なっ!何でだよ!光が兄さんだろ?」

「双子で兄貴も弟もないでしょ、大体ハルヒに飛びつこうって言ったの馨じゃん」

「なんだよ。光だって同じ事考えてたんだろ?双子なんだし」

「だって、馨が茶化す様な事言うからハルヒ怒ったんだぜ?」

「光が先に言ったんだろ!光が悪い」

「なんだよ、馨だって言ったろ?馨が悪い」

「なんだよ!」

「なんなんだよ!」

しかし。

今まで自分達の事しか眼中になく、我侭を尽くしてきた彼らに

謝れといったってなかなか無理な話である。

そんな彼らがこんなに慌てているのだから、ハルヒは特別な人物だ。

話は堂々巡りで、しまいには二人まで喧嘩を始めてしまいそうな

様子だった。

「だ〜〜ッ!もう、これじゃ謝れないじゃん!」

「つーか、大体殿が悪いんだよな」

「確かにそうだよな」

「あ〜もう、殿め、覚えとけよ〜」

と、二人が責任転嫁を始めたとき、

ガチャリと扉が開いて、ハルヒが入ってきた。

((わっ!))

慌てた二人はとっさに目を合わせ、結局二人で謝ることにした。

二人はさっとハルヒの前に出ると同時に頭を下げた。

「「・・昨日はすいませんでした」」

「えっと、昨日はやりすぎた。ゴメン」

「もうしないからさ・・・、許してくれる?」

二人は次々とそう言うとハルヒの方を、心配そうに見上げた。

「・・・・・・・・・・・」

いきなり謝られて、きょとんとしていたハルヒだったが、

次の瞬間くすっと可笑しそうに笑ってごそごそと鞄の中から何かを取り出した。

「はい」

「「?」」

ハルヒが取り出したのは、綺麗な包みに入ったクッキーだった。

ハルヒは、不思議そうにしている双子にそれを差し出すと、こう言った。

「昨日は自分も言い過ぎたかな、と思ったから・・・。おわび。

それに別に怒ってないよ?」

ハルヒはにこっと笑って2つのクッキーの包みを双子の手の上にのせた。

一瞬ぽかんとしていた双子だが、すぐにいつもの様にニヤリと笑うと

二人してハルヒに抱きついた。

「わっ!?」

「よし、これで仲直りだな!」

「記念にこれから遊びに行こう!!」

「えっ?ちょっと!?」

二人は戸惑うハルヒの手をぐいぐい引っ張って、

扉の外に飛び出した。

「わっ!?お前らっ!?」

「もうすぐお客様が来られるんだぞ?何処に行く気だ?」

廊下には、遅れてきた環と鏡夜がいた。

「あ、鏡夜先輩。僕ら今日欠席ねー♪」

「ちょっと風邪気味なんでー♪」

「は!?ピンピンしとるだろうが!?つーか、ハルヒを連れて何処に行く気だ!?」

「・・・ふぅ。ハルヒ、借金プラス十万だ」

「はっ!?なっ、なんで自分だけ・・・」

「「じゃぁ、そう言う事で〜☆」」

双子はそう言うと、ハルヒを連れてさっさと消えてしまった。

「なッ!!??俺は許さんぞーッ!!!」

後には廊下に向かって大絶叫する環だけが残った。

鏡夜はさっさと音楽室に入っていってしまった。

「もういいじゃないか。なんだかんだ言ってハルヒも楽しそうだし。

それにあいつらは明日ペナルティを用意する」

「なっ!か、母さんまで・・・・」

「やめんか、気持ち悪い」

「!!!!(泣)」

そして、ハルヒと消えた双子はこれまでに無い、嬉しそうな顔を

顔を浮かべていた。

そんな事は本人達さえ気づいていないが。


いろいろあったが、1−Aトリオは今日も元気に健在である。

明日になれば、鏡夜のペナルティが待ち受けているのだが。


   - 終 -
author : どらどらさん

Comment
なんじゃこりゃ!!って感じです。
あはは、1−Aトリオが書きたかったんですが。
前回、前々回と環メイン、ハルヒメインでやってきたので
今度は双子だぁ!!・・・と。
いつもながらどうしようもない駄文ですみません。
精進したいです。


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