祭り



「縁日にいきたいぃ〜?」
ハルヒが聞き返す。
それは数秒前、光と馨が「縁日にいきたい。」と、言ったからだ。
「ねーねーお願いー。この前鳳家の感謝祭いったじゃんか〜。」
馨がすがる。
「おねがいーハルヒー。」
光もすがる。
そしてそれを何回も連続で、ステレオのように言ってくる。
「あーもー!!うるさいっ。つれてけばいいんでしょっ。つれてけばっ。」
ハルヒがなげやりに叫ぶ。
双子は手と手をあわせ、やりぃ。と、いう顔をしている。
「鏡夜先輩、あのときの浴衣、まだありますか?」
「ああ。あるが?」
「かしてください。みなさんをうちのまわりの縁日につれてきます。」
もうハルヒの顔は、やけくそだった。
「ほんと〜?ハルちゃん?」
「ええ。」
もうハニー先輩のやんちゃな笑顔もきかない。
「だってー崇〜。僕らも浴衣きよ〜。」
モリ先輩はこくりとうなずく。
「それでは俺も浴衣をきていくか。な、鏡夜。」
環は鏡夜の肩に、手を置く。
「どーでもいいが、何で最後に俺の名前がつく?」
「それじゃあみなさん、8月○○日に、俺のマンションの下に来て下さい。
ちなみにいいだしっぺの光と馨は、みんなを車にのせてくるように。
住所は鏡夜先輩に聞いて。」
それだけいうと、ハルヒはどこへいくのか去っていってしまった。

そしてその日。
「氷室、この辺だ。」
常陸院家のおかかえ運転手の一人、氷室に、光はストップをいれた。
目の前は少し大きいマンション。(注!光のみたところですっ)
前座席の窓から、鏡夜はマンションをみる。
「こんなマンションに住んでたんだ。なかなか良いじゃないか。」
「そうだな。」
そのとき、玄関ホールらしきものから、人影があらわれた。
浴衣を着てメイクアップ・髪をしたハルヒと、鳳家のスタッフの中で浴衣の着付けを出来る、暁だった。
「すみません。おくれましたか?」
窓から車の中にいるみんなに、ハルヒはそういった。
「ハルちゃん可愛い〜vv」
ハニー先輩は感嘆の声をだした。
光と馨はあぜんとしていたし、環はいつものとおり口をぱくぱくしていた。
「ハルヒ、よく似合ってるじゃないか。」
鏡夜にそういわれ、ハルヒは面食らった。
「は、はぁ・・・・。」
「ハルちゃん、僕のとなりおいで〜w」
ハニー先輩がハルヒを呼ぶ。
「すわらせてもらいます。」
そうして、ホスト部と暁をのせた車は、縁日(or花火会場)へ向かった。

「ハールヒっ?綿飴いる?」
環はハルヒに、綿飴を差し出す。
「あ、ありがとうございます。でも自分で買えますし・・・。」
「いいのいいのv」
環はにっこり笑う。
「じゃあ、お言葉に甘えて。」
はむりと綿飴を口にほおばるハルヒ。実はもう財布がほそぼそとしていた。ひさしぶりにいくと、食べ物の値段があがってる。
だからとてもありがたいことなのだ。
そのうちみんなはふらふらといろんなところへいった。
鏡夜をのぞいて。
自分もふらふらとしていたハルヒは、駄菓子屋の前でたちどまる。
(あっ。りんご飴だ〜。でももうこのお金じゃかえないしな・・・。)
ハルヒの持ち金100円。
「ハルヒ?」
いつのまにかいた鏡夜に、肩をたたかれるハルヒ。
「これほしいのか?おごってやるよ。」
悪代官とは思えないその言葉。
「え・・・でも・・・。」
「ずっとみてたってことは、金がないけどほしいんだろ。これ。」
ハルヒは赤くなる。そんなにずっとみていたのか。
「すみません、これ1つ下さい。」
鏡夜は金をはらい、りんご飴をハルヒに手渡す。
「え!?あ・・・。いいですよいいですよ!!」
「いいんだ。食え。」
そういう鏡夜から、ハルヒは飴をうけとる。
「どうもありがとうございます。」
そしてまた少し、赤くなる。
(信じられない。悪代官(笑)鏡夜先輩が・・・。)
そのとき。
パーン!
急に夜空が明るくなる。花火だ。
「花火大会もあったんだな・・・・。」
鏡夜が呟く。
「俺!もっといい場所しってます!ついてきて!」
ハルヒは鏡夜の手をもつ。
「おいハルヒ!?」
ハルヒは上の神社へ続く階段を走る。
「まて!おい!止まれよハルヒ!!」
ハルヒを鏡夜が追いかける。
そして階段の中部までさしかかったとき・・・・。
「ここですっ。」
すとんと階段に座る。
「ここ?」
左を見ると、なるほど。花火が見える。しかも特等席だ。
「秘密ですよ。」
人差し指を、口に当てるハルヒ。
鏡夜もとなりにすわる。
「絶景だな。」
ハルヒはくすりと笑う。
「飴のおかえしです。これでチャラですよ。借金にしないで下さいね。」
飴をぺろぺろなめながら、ハルヒはいう。
ぺろっ。
いきなり鏡夜が、ハルヒの飴をなめた。
「せ!せんぱい!?」
鏡夜もくすりとわらう。
「これでチャラにした。」
ハルヒは赤くなる。そして、空をみる。
「きれいですね・・・・。」
「ああ・・・。」

綺麗だ―。

「ハルヒ。」
鏡夜はハルヒをふりむかせた。
「なんですか?鏡夜先輩?」
目と目が合う。
「あの・・・・。」

がさがさっ。
「「へ?」」
みると右の方に、環たちがいた。
「鏡夜先輩たちきぐうだねー。」
光がいう。
「あ、ああ。」
鏡夜はすこしぐったりした顔で言う。
「ここは絶景だな。」
環たちも空をみあげる。

(いえそうだったのに・・・。)
鏡夜はぐったりする。
(ま、たまにはこういうのもいいか・・・・。)
ため息をついた後、鏡夜は微笑み、また空を見上げた。

≪余談≫
「そういえば鏡夜先輩、あの時何がいいたかったんです?」
階段を下りるとき、ハルヒは鏡夜に聞いた。
「あ・・・それは。」
鏡夜は言葉につまる。
「汚くしたらクリーニング代だせよ。と。」
とっさにでたうそをいう。
それを本当に思い、ハルヒは、
(やっぱり悪代官だ・・・。)
と、思うのだった。



 - 終 -
author : 満桜さん

Comment
鏡×ハルです!!よったあげくに書いてしまいました(うそ。
でも文をかえると、環×ハルになるという・・・。(汗
けれどけっこうきにいってます。鏡夜が何がいいたかったのは、秘密らしいです(笑


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