目指せNo.1☆ - 4 -


ホスト部キングをかけたホスト部キング争奪戦も、とうとう最終日だ。



現在の状況は一位が常陸院兄弟。

二位が昨日本日限りのコンビを組んだ

現キングの環とハルヒ。

三位は三年生コンビ。

四位は唯一一人な鏡夜だ。

まあ、鏡夜は部長なんかにならなくても

陰の部長として活躍するのだろうが…。





「こんにちは〜」

部活動の時間が始まった。ハルヒはいつも通り部室へ入った。

「……!!?」

一瞬足が後ろへ下がった。

そこにいたのは

王子様のような衣装を着たハニーと家来(じいや風)の衣装を着たモリだった。

「な…なんですかその格好は…?」

三年生コンビにハルヒは問いかけた。

「あのね〜、最後の日だから頑張るんだよ!

僕が王子様になってハルちゃんがふりふりドレスのお姫様になるの〜

ね〜崇ぃ〜♪」

「…(こくり)」

「は!!!??」

ハニーは準備万端といったところだ。

自分がキングになった時の為に衣装まで着て…

この調子じゃふりふりドレスもどこかに用意されているだろう。

「甘いね」

後ろから、双子が呟いた。

「光!?馨!?」

ハルヒが振り向くとそこには

真面目そうなスーツにメガネを着た双子がいた。

「…なんでそんな格好…!?」

「やっぱ、モエと言ったらメガネだろ?」

「は!!?」

「だから〜、萌えキャラ狙ってみたのっ!

最近お客さんのオタク度上がってるしね〜♪」

「それならスーツは関係ないんじゃ…」

「わかってないなぁ〜コスプレは萌えの基本だろ?」

ふぅと光がため息をついていった。

そんなに語られると、かえって双子のほうがオタクっぽい。

それに、この人たちがスーツを着るとどんな真面目な感じにしても

めっちゃホストっぽい!!!!!!

ハルヒはもう、どうしていいかわからなくなってきた。

「ハルヒ〜」

半泣き環が顔を出した。

「わっ!環先輩!!…あ!なんですかコレ!!」

「実はな…昨日みんな帰ったのって、この準備をしていたかららしいんだ…。」

やられた…。用事があるとか言って自分達に片づけをさせといて

実は最終日の準備をしていたなんて!!!!!

「俺は本当に家の用事だったぞ。取引先の方々との外食に誘われたんだ。」

と鏡夜が口を出した。

たしかに鏡夜は衣装など用意していない。本当のようだ。

「…どうするんですか…?これはけっこう厳しいと思うんですけど…。」

「むむむっ!でもこれから用意したって、あいつらには勝てない!!」

そう言って環は悩み始めた。

環が悩むとまた落ちこんで面倒なことになってくる…

そう思ってハルヒは、

「まあ、なるようになりますよ。きっと。(多分。)

初コンビで珍しがってくれるお客さんもいるかもしれませんし。」

と、根拠の無いことを言ってみた。

「ハルヒ…そう思うか?」

「(あんま思わないけど)また先輩が落ち込むよりは

元気で笑顔で迎えてあげたほうがお客さんも喜びますよ。」

「…そうか…そうだよな!ここはお客様に笑顔を与える場だもんな!!」

昨日のハルヒの言葉を思い出し、環は元気を出そうとした。



こうして、最終日の争奪戦が始まったのだ。



「いらっしゃいませ〜」

活動時間が始まった。

笑顔でお客を迎えた。



「ねぇ〜え?僕のお姫様になってくれない〜?」

「いやいや僕たちに個人授業受けたくないかい?」

などと、ハニーや双子が客取りを始めた。

双子の衣装はどうやら先生をモチーフにしたものらしい。

「えっえっ///」

女子生徒が照れている。



ハルヒはこの一週間の出来事を思い出していた。

―最初は何言い出すんだこの人たちはと、心底思った。

着せ替え人形にさせられないように、借金減額のために、

自分がキング(女だからクイーンなのかな?)にならなければと誓った。

客の奪い合いもあった。

今までキングでのりのりだった先輩も双子に客を奪われて…

面白いくらい落ち込んでいたっけな…。

でも、自力で立ち直ろうとして

自分の事まで気にかけてくれて…。

自分はこの人にホスト部のキングでいてもらいたい!!!!!−

そう思っていると、頑張ろうという思いがこみ上げてきた。



「先輩!行きましょう!!」

ハルヒが環の手をとった。

「ハ…ハルヒ!!?」

いきなり手をつかまれた環はハルヒに引っ張られてお客の前へ行った。

「あのっ今日限りで自分達コンビを組んだんです。

一日限定なんでもしよければ指名していただけませんか!?」

あまり自ら客取りをしなかったハルヒが言った。

「ハ…」

ハルヒ…と環が言おうとしたその時。

「えぇぇ〜っ羨ましいですわっ!

私達もハルヒ君と環様のコンビ御接客願いたいですっ!!」

新しく入ってきた客が叫んだ。

「あ…もしよければみなさん一緒に話しませんか?

時間は無制限で。」

ハルヒが少し照れた笑顔で言った。

「いいんですか!!?」

「あ…先のお客様はどうでしょうか?」

「環先輩とハルヒ君の限定コンビを無制限でなんて…

絶対いいに決まってます!!」

―やった!!!!!!―

それからしばらくしてまた客が来て…

ほとんどの客は環&ハルヒに流れたのだった。



「ねー…僕らの頑張りって無駄だったのかなー」

「衣装まで用意したのにさー」

双子がポロリと愚痴をこぼした。

「無駄じゃぁないと思うぞ。

お前らはもっと客を取れるってわかったじゃないか。」

『鏡夜先輩…』

「だからもっと稼いでくれな。」

感動していたのに…鏡夜らしい一言。

『…はーい…』

ちょっとガックリな双子。

「じゃあハルちゃんのドレス姿は見れないの〜?

せっかく用意したのにねぇ」

モリのほうを見てハニーが首をかしげた。

「次がある。」

めずらしくモリが話した。

「…次ってまさか…!!?」

「僕たちに期待してるんじゃ!!?」

「あ!そっかぁ〜♪来年こそは頑張ってね〜*」

ハニーが光と馨のほうを見た。

「水着も見てないのに…。」

ふくれた馨。

「全部着せればいいだろ?」

鏡夜が言った。

「それもそうだな!!」

光がにやりと笑った。





着せ替え人形にならずにはすんだけど…

きっとこれからもハルヒはホスト部のおもちゃであろう…。



ハルヒはそれを悟りちょっとグッタリだ…。



しかし。

いざとなったら自分を一番に助けてくれる王子様がホスト部にいることを

ハルヒはまだ知らない。


   - 終 -
author : あさみさん

Comment
やっと終わりました、初小説。
未熟な上に遅くなってしまいましたね(汗)
もっと取り合いのシーンを入れたかったのですが、力不足でした〜…
しかも、3を送った後に鏡夜って字を何箇所か間違ったことに気がつきました(汗)
鏡夜先輩ファンの方々すみません!!!!!
次は短くいきたいです☆


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