君が呼ぶから



「お、あれシロじゃないの?」

「あれ、本当だ」

「おーい!シロー!」

放課後。

高等部の校門付近でウロウロしていた俺、鷹鳳子嗣郎は

自分を呼ぶ声に足を止めた。

声のする方を振り返ると、以前ちょっとしたことで知り合いになった

桜蘭ホスト部のメンバーの、ホモとオカマがいた。(やべぇ、名前覚えてないや)

目が合うと、ホモの双子がこっちに向かって走ってくる。(ゲゲッ)

「よ!シロ。久しぶりだな」

「元気してたか〜?」

二人はそう言いながら、俺の頭をわしゃわしゃと

撫でてくる。(やめろって)

「あ・・・・。どーも」

二人からこっそり後ずさりしつつ、俺は返事を返す。(変態は怖いんだ)

俺が、ホモの双子のされるがままにされていると、

遅れてオカマの兄ちゃんが近寄ってきた。

「あ・・・・」

「シロくん、久しぶり。こんにちは」

女みたいな兄ちゃんは、腰をかがめて俺の顔を覗き込んでくる。

にっこり笑ってるその顔は、本当に女みたいだ。

ちょっと見とれてしまった自分が恥ずかしくなって、

つい、つっかかった返事を返す。

「・・・オカマのにーちゃん、こんにちは」

「「!!」」

俺がそう言うと、何故か双子の兄ちゃんがあわてた様子で

俺の前に立ちふさがる。

「あはは、ところでシロ。雛ちゃんとはその後どうなんだ?」

「高等部の前にいるって事は、何か相談あったんじゃないの?」

なんだか無理矢理話題をそらされたような気がしないでもないけど、

図星を突かれて俺は顔を赤くする。

「えっと・・・・、そ、それは・・・・」

前にも助けてもらった事があって、なんとなくここに来てしまったけど

いざ話すとなると、やっぱり気恥ずかしい。

俺がモゴモゴと口ごもっていると、いきなり二人に抱きつかれた。

「うわっ!?何すんだよ!」

やっぱりこの二人はホモだ!

俺が怖くなって二人の腕から逃げようとじたばたすると、

ホモの兄ちゃんたちは茶目っ気たっぷりの顔で笑うとこう言った。

「まぁ、話してみろって」

「殿なんかに相談するより、よっぽどいいぜ?」

「・・・・・・・・」

その言葉を俺はなんとなく信用してしまって、

ぽつぽつと話し始める。

「・・・・・あのさ、来週、神城の誕生日なんだけど

何あげればいいかなって。やっぱ、なんか特別なものやりたいし」

俺が俯きながらそう話すと、ホモの兄ちゃんは少し考え込んだ様子をして

何かを言いかけた。

「うーん、それはなー・・・」

「ハルヒくーん!!」

ホモの片割れの兄ちゃんの言葉は、校舎の方から聞こえてきた

うるさい女の声で見事にかき消された。

「れ、れんげちゃん?」

「うふw新作ができたの!ハルヒ君にも見ていただこうと思って!」

でっかいリボンのその女は、そう言うとオカマの兄ちゃんの腕に抱きついた。

兄ちゃんは結構迷惑そうな顔をしていたような気がするけど、

ホモの兄ちゃん達にちょっと行って来るね、と言うとリボンの女に連れて行かれてしまった。

俺達はその様子をしばらく呆れて見つめていたけど、俺はハッと気がついて

兄ちゃんにさっきの言葉をせかす。

「ね、神城に何やったらいいと思う?さっきなんて言おうとしてたの?」

俺がそう言うと、二人は不思議そうな顔をして言う。

「何、お前。雛ちゃんの事、まだ名前で呼んでないの?」

「えっ・・・、うん。まあ」

「マジ?じゃあ、雛ちゃんはお前の事なんて呼んでんだよ?」

「・・・・鷹鳳子くん」

俺がそう言うと、二人は次々と驚きの言葉を述べる。

なんだよ、これは仕方ないと思う。

だって、やっと告白できたと思ったら神城はすぐに転校しちゃうし。

毎日メールはしてるけど、中々そういうタイミングがつかめない。

てゆうか、俺が苗字で呼んでんのに雛ちゃん、雛ちゃん言うなよな。

なんとなくカチンときたので、俺が俯いて黙っていると

二人はニヤッと笑って俺の顔を覗き込んで言った。

「じゃあ、誕生日のプレゼントは決まりだな!」

「えっ?」

「だからさ誕生日の日、電話して雛って呼んでやれよ」

二人が言ったその言葉に俺は慌てて反論する。

「なっ・・・。だってそんな突然・・・・。

それに、プレゼントそれだけじゃ・・・」

俺が言うと二人に口を塞がれた。

「ふっ、もがっもが!(なっ、何すんだよ!)」

俺が憤慨すると二人は指を立てて気取って言った。

「大丈夫だって。お前から呼べば、雛ちゃんも言いやすいだろうし」

「それに、特別な人に名前呼んでもらえると嬉しいだろ?」

この言葉に俺は動きを止める。

「と、特別・・・・?」

そ、と二人はにんまり笑う。

「お前にとって雛ちゃんは特別だろ?」

「雛ちゃんにとってもお前は特別だ」

そう言うと、二人はリボンの女と話し込んでいるオカマの兄ちゃんの

方を見る。

「あの二人まだやってんなー。置いて帰っちゃう?」

「早いトコ帰りたいんだけどねー、僕らは」

言葉ではそう言ってるけど、二人は一向に帰る様子なんて見せない。

それどころか、なんだか表情が和らいでいる様に俺には見えた。

『特別』 ああ、俺にもなんとなく分かった。

「で、シロ。どうするんだ?」

「一回、勇気だして試してみろよ?」

くるっと二人がこっちを向く。

突然でびっくりしたけど、俺はうん、と頷く。

すると二人は満足そうに笑った。

「ごめん、帰ろう。光、馨」

やっと解放して貰えたらしく、

オカマの兄ちゃんがこっちに向かって走ってくる。

するとホモの兄ちゃん達は、ぱっと顔を輝かせて

オカマの兄ちゃんの方に絡みにいく。

「遅い!ハルヒ!」

「わわ、ごめん。あれ、光ネクタイ解けてる・・・」

「だって、暑いんだもん。いいんだよ」

「なんだよー、光。だらしないぞ」

「そう言う馨もボタン閉めなよ」

あれ、と思った。

あの人、二人をちゃんと見分けてる。

なんとなく三人を観察していると、ホモの兄ちゃん達がなんだか

すごく嬉しそうな顔をしているのに気がついた。

ホスト部で修行をしてた時も思ったけど、この人達

結構、自分達の事しか考えてなさそうに見えたんだけど。

特別なんだな。

さっきの二人の言葉を思い返す。

「おーい!シロ、じゃあな!」

「頑張れよー!」

「じゃあね、シロ君」

三人は帰ることにしたらしく、こっちに手を振ってくる。

俺もひらひらと手を振り返す。

あの人達は変態だけど、結構参考になった。

俺も頑張ってみよう。

じゃれ合いながら帰っていく三人の姿を見送りながら、

俺はそう考えた。


・・・・・・・待てよ?

「あの三人、みんなホモなんだ・・・・・」

残された俺は呆然と呟く。





君が呼ぶから嬉しくて。

何故なら君は特別だから。


   - 終 -
author : どらどらさん

Comment
久々に書いたらやっぱり駄文でした。
シロ話と見せかけて、双子です(笑)
もうちょっと私に文才があれば・・・・!
シロちゃんは結構鋭い子だと思ったので。
なんかキャラが違いますがね(苦笑)


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