もしも -200cmの僕-


それはそれは、放課後の出来事でした。
部室はとっても静かです。
今日も普通に部活な筈なのに、誰も来ない。

ただ一人を除いて。



埴ノ塚 光邦。



光邦はイスに腰掛けて、テーブルに寝そべりついて、猫背でみんなを待っていた。


「みんなおそーい・・・ねー、うさちゃん?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「うさちゃんはぬいぐるみだからね〜・・・・・・」
うさちゃんも一緒のようだ。


ここでホスト部部員の現在地と現状を紹介しよう。

ハルヒは、1-Aで、学級日誌を書いている。どうやら日直だったようだ。
双子は、体育館で、バスケ部の友達のところに遊びに行ったついでに、練習試合に参加中。
鏡夜は、図書室で、調べ物中。
環は、陸上部(学校付近に備え付けで建てられている立派な陸上競技場)で、陸上部の友達と1500mを競っている。
崇は、剣道部で、部活中。
そして、光邦は一人第三音楽室で、みんなを待っていた。

皆、行動がバラバラでおまけに部活を忘れているようだ。


「こんなことなら崇待ってれば良かったぁ・・・・・」
光邦は、みんな来ていると思い、崇を待たずにホスト部に来ていたのだった。
「はぁ・・・・・・」
暇でたまらなさそう。
「あ、そうだぁ」
ひらめき。
「ご本読んでよ〜」
本を読むことにしたらしい。
光邦はイスから降りて、取りに行った。
ホスト部の中に、実は飾りとして置いてある本棚には、勉強書ぐらいしかなかった。




・・・・・・




「う〜ん・・・・・・」
困る光邦。
その理由は・・・。
「届かにゃい・・・・・・」
そう。
光邦の148cmの身長+手を伸ばし、背伸びしたとしても到底届かないと思われるような大きな本棚。
頑張って頑張って、うんうん言いながら背伸びして、手を伸ばしたとしても、届く気配は無い。
そのうちに疲れてしまい、諦めた。

「・・・ぼくってちいさい・・・・・・・・」
諦め、再びイスに座りながら自分の小ささに悲しむ光邦。








【かちゃりっ】

「済みません;遅れました・・・・・・あれ?先輩、どうしたんですか?」
「・・・ハルちゃん・・・」
一人退屈していると、日誌を書き終えたらしいハルヒがやって来た。
「他の人達はまだなんですか?」
「うん。僕とうさちゃん二人でお留守番してたのっ」
「御苦労様です」
ハルヒも光邦と同じテーブルの空いていたイスに座る。
光邦もハルヒが来て嬉しいようだ。


でも一つだけ気がかりが・・・。


「ねー、ハルちゃん・・・」
「何ですか、先輩?」
聞いてみた。

「僕がもしも、ぐーんっと伸びて、200cmになったらどーする?どーおもう??」
「は」

ハルヒ考える・・・。



ハニー先輩が200cm・・・・・・2m?!
考えられんっ!!
先輩は148だから、52も伸びるの・・・・・!!
ってか、モリ先輩よりデカくなるの・・・・・・・・えぇ?!



「・・・・・どーもしませんが、かなり可笑しいです」
「・・・・・・・え・・・」
ちょっとショックを受けたが理由を聞いてみるとにした。
「だって、先輩が大きくなったら、モリ先輩に負ぶってもらってても可笑しくないですか?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「それに、ハッキリ言いますが、うさちゃん持っていても少しも可愛さなんてありませんし」
真面目に、ハッキリ言うハルヒ。
「・・・・・・・・・・・・・」
考えてみればその通りだ と思う光邦。
「・・・・・・何かあったんですか?先輩・・・・」
「・・・・・なんで?」
「いつもなら、身長なんて気にしてないじゃないですか」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「先輩は、小さい方が可愛らしいですよ。大きな先輩なんて想像つかないし・・・」
「・・・・・・・・・・」
「それに、自分、モリ先輩とハニー先輩のあの身長差、好きですよ。」
「・・・・・・本当っ・・・・・?」
「ええ。逆にモリ先輩との身長差がたった8cmだったら、二人揃って背が高いから怖い感じしますよ」
「・・・・・・だよねっ!」
すっかり元気になった光邦。

「・・・でも」
尚、話を続けるハルヒ。
「何だかんだ言いましたが、背が大きくなってもこのまんまでもハニー先輩はハニー先輩ですよ」
「・・・・・・・・・ハルちゃんっ」
「何ですか?」
「ありがとっ*」
「いいえ」




終始和やかな雰囲気。

でも、それだけではなく光邦の心は温かくなっていた。



その後に、他の皆がやってきて、いつもどおりに部活を始めた。
部屋はいつものように賑やかに。

でも、今日の光邦はいつもより、嬉しそうだ。。


   - 終 -
author : 衣月円さん

Comment
ハニー先輩メイン話!!しかも短編(笑)。短編は書きやすいです。
おまけに「もしも」の第二弾です。
個人的に一度でいいからハニー先輩メインの話し書きたかった・・・。
当初はハルちゃんイナイ設定でしたが、イナイと話し進まなくなってしまい;力不足;;
でも、真面目にハニー先輩が200cmあったら・・・・なんて想像できません;;


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