君の声


凛とした声が響く。
いつからだったか?
アナタの声が好きになっていたの。

きっと最初から気付いていたはずだ

自分はこの人を好きになるって

だから、もう離れることができないんだ。

「ハルヒ」

また、アナタの声が響く。
そのたびにどきどきしてしまう。

ほら、また心臓が激しく動き出す。

「なっ・・・なんですか・・?」

うわずった声を上げつつも何とか返答に成功する。

この気持ち、ばれていない?

好きって言ったら馬鹿にする?


「いや、なんかぼぅっとしていたから・・・。どうした?お前らしくないぞ?」

「そっそんなことないですよ」

言えない

言えるわけがない

アナタのことを考えていたなんて口が裂けても言えない。

「殿〜、手伝ってよ〜」

向こうの方で光が環先輩のことを呼んでいる。

「・・・光が呼んでますよ?」

「えっ?あっあぁ・・・」

返事はするモノの目が上の空だ。
自分も人のことは言えないけれど。

「何かあったら、遠慮せずに言えよ?」

「はい・・・」

大きな、温かな手で頭を撫でられる。
その温かさと何でも包んでしまう大きさが大好きだ。

自分を心配そうに見つめながら目の前からいなくなっていく。

(まるで嫌っているみたいだ・・・)

どうやって接すればいいのかなんてわからない。
人をこんな風に好きになったのはきっと生まれて初めてなんだろう。

だから、余計に

ここに入ってもう半年近くも立つ。
興味すらなかったこの人にいつからか惹かれていたのだ。
いつからなんて、わからない
つい最近のような気もするし、遠い昔だったような気もする。

どちらにせよ、好きになっていたのは確かだった。
本当はもっと近くにいていっぱい話したい。

でも、どうやって?
何を話せばいいの?
近くにいてもいいの?」

「ハルちゃん・・?」

自分の好きな声とは違った愛らしい声が少ししたから聞こえてきた。

「ハニー先輩・・」

二つ年上とは思えないその愛くるしい姿をした先輩は心配そうにハルヒの方を見ていた。

「どうしたの?タマちゃんが心配していたよ?」

「環・・先輩が・・?」

「うん。なんかハルちゃん元気ないみたいだよぉ?」

「・・・大丈夫ですよ」

この人はあの人と違った意味で、和ませてくれる。

「無理しちゃ駄目だよ?何かあったらちゃんと僕らに相談してね?」

「えぇ・・」

自然と頬がゆるんでいくのがわかる。

はっきりした

自分はあの人が好きなんだ。

惹かれていったのは

声と、優しさと、暖かさ

それだけで十分だったんだ。

「ハニー先輩、環先輩は何処ですか?」

「図書室で調べものだって〜」

「ありがとうございます。ちょっと行って来ます」

いってらっしゃ〜いという声に送られて音楽室の扉を開ける。

そのまま真っ直ぐ近くの図書室へ向かう。
自然と急ぎ足になる

お願い、まだいて?
その場所に
せめて自分がそこにつくまでは
この想いを伝えるまでは

聞いたら、あの人はどんな顔をするかな?
ものすごく驚くかな?
それとも、拒絶?

好きって言ってくれる?

焦る想いを胸にハルヒは思い人のいる図書室の扉に手をかけ、ゆっくりと開けた。


   - 終 -
author : 切符久遠さん

Comment
後は想像してください。(笑)
タマハル〜vハルヒがあまりにも恋愛に淡泊なので「恋する乙女」にさせました。
都合でコロコロと変わるはるちゃん・・・。ごめんよ・・・
今度はもう少しあっさりした君を描くねー。
最近タマハルばっかり・・・
迷惑だったら申し訳ないですー・・


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