「ハルヒ〜」

「一緒に部活行こうぜ」



常陸院兄弟が話しかける。



「あ。しばらく無理だから。」



「「な…!!!??」」







秘め事〜初冬〜







ある、冬も近づいた寒い日の午後。

とつぜんハルヒが部活に出れないと言い出した。



「ちょっと殿〜ハルヒになんかしたんじゃないだろうね?」

「怪しい〜」



双子は環に冷たい視線を送った。



「何もできるわけなかろうが!!!!!」



環が怒った。



「…じゃあできたらするってこと?」

「わぁ〜殿や〜らしぃ〜」

「なっ…!!!」



この三人はいつもこの調子だ。



「でもハルちゃんど〜したんだろうねぇ〜?」



ハニーが心配そうに言った。



「なんかやりたいことがあるとか何とか言ってたぞ。」



鏡夜がふっと思い出したかのように言った。



「「「な!!?」」」



「ん?」



「何で鏡夜先輩が知ってるのさ〜!!!」

「僕たちにも、ただ出れないとしか言ってくれなかったのに!!!」

「父さんには一言もなかったぞ!!!!」



三人で鏡夜を囲む。

自分に言ってもらえなかったのがよっぽど悔しかったらしい。



「あぁ。昨日の帰りの片付け、最後まで二人でやってたからな。」



昨日…



昨日と言えば確か…



そうだ。お客も帰り、みんなで片づけをしていたら

ちょうど特番の時期だからやる加藤家の食卓スペシャルの時間になって

環が突然

「みんなで見よう!!!」

とか言い出して

「えぇ〜こんな庶民の浅知恵見て何が楽しいの〜?」

「殿、そんなに庶民がいいなら庶民になりなよ〜」

と双子に言われた。



さらに

「興味無いな。」

と鏡夜にまで言われ、

「早く帰りたいので自分は片付けします。」

とハルヒにもふられたのだ。



しかし片づけをしたくない双子は環と一緒にTVと見ることに…

「庶民って…すごい!!」

「こんな知恵、どこでつけたんだ!!?」

と、見ていたら双子ははまってしまい

「すごいだろ?加藤家は!!」

と、自分の家かよと言わんばかりに環は自慢。



ハニーはモリにおんぶされてお昼寝中であった。



その間、ハルヒと鏡夜は二人で片付け。



その時にハルヒは鏡夜に部活に出れない理由を話したらしい。



しかし…



「でもハルちゃんがやりたいことってなんだろうねぇ〜?」



「そうだよな〜。家事?って言っても部活休むほどの事じゃないし…。」



「まさか彼氏ができてたりして〜。」



「かかかかか彼氏だと!!??とっ父さんは許さん!!!断じて許さんんんんっ!!!」



と、ハルヒがやりたいこととは何なのかがはっきりせずに

ホスト部はその話題で持ちきりになった。





次の日。



あまりに気になった双子はハルヒに直接聞くことにした。



「ねぇねぇハルヒ〜」



「ん?何?」



「あのさ〜。休んで何してるの〜?」



双子が思い切ってきいてみた。



「えっ!!」



するとハルヒは急に慌てだした。



「それは…それは…」



「「それは?」」



「秘密っ!」



「「えぇ〜」」



ハルヒはテキトーにはぐらかして逃げた。



「な…なんなんだハルヒ…。」



「光…まさかハルヒ、本当に彼氏ができたなんてことないよな…?」



「な…ないと思うけど…;」



双子はちょっと焦った。





その後一週間ハルヒは部活にこなかった。



「寒い…こんなにここが寒いのは我が愛娘がいないせいだ…。」



「もうすぐ雪が降るらしいぞ。」



環が悲しみにひたっていると鏡夜が口を出した。



「雪かぁ〜。どうりで寒いわけだ。」



光は外を見た。



「雪が積もったらみんなで雪合戦しよ〜ねぇ〜*」



ハニーが愛らしく言った。



「…それまでにハルヒ戻ってくるよな…?」



馨か深刻に言った。



まわりが急に静まった。



「……帰ってくるだろ。借金残ってるし。」



鏡夜がふぅと言った。



しかし、内心はみんな心配なのだ。



こんなにハルヒが部活へ出なかったことはなかったから…。



長い沈黙…



その時



「こんにちは〜。」



「「「「「「ハルヒ(ハルちゃん)!!?」」」」」」



「…どうしたんですか?みんな。」



「ど〜したもこ〜したも…父さんに何も言わずに一週間も姿を消して〜っっ!!」



環は一週間ぶりにハルヒを目にして、感動で泣きそうだ。



「ハルちゃん何してたの〜!??」



「あ…先輩!あの…これをみんなに…」



持っていた紙袋の中身を机の上に広げた。



なんと、中には6人分のマフラーと手袋が入っていたのだ。



「なにこれ…もしかしてハルヒの手作り…?」

「これ作るのに一週間休んでたとか言わないよね?」



双子がちらっとハルヒのほうを見た。



「や…実はこれを作るために…」



「なんでさ〜!!?すっごくうれしいけど、すっごく寂しかったんだよ〜!!??」

「部活休んでまで急いで作ってくれなくてもよかったのに〜!!!」



「でも…」



ハルヒはこんな反応をされると思っていなく、少し戸惑った。



「あれ〜?雪だぁ〜*」



外を見ると、雪がちらほら降っていた。



「雪が降るまでに渡したくて…」



ハルヒは話の続きをした。



「いつもなんだかんだでみなさんにはお世話になってるのに

自分にはなにも返すものがなくて…

せめてと思って編んだんですけど…迷惑ですか?」



少し困った顔をして、ハルヒはみんなを見た。



「迷惑なわけなかろうが娘よっっ!!!」

「超嬉しい!!」

「超感動!!」

「ハルちゃん大好き〜*」

「もらっておくぞ。」

「ありがとう…。」



「「「「「「どれが俺(僕)の?」」」」」」



みんながいっせいに机の前に来た。



少し驚いたが、ハルヒは一人一人に渡していった。



「ずいぶん降ってるな…」



「うん!積もりそう!!雪合戦だねぇ〜♪」



「ハルヒが雪が積もるまでに帰ってきてくれてよかった〜!」

「本当だよ。すごく心配したんだから。」



「ごめんごめん!」



ハルヒはふっと微笑んだ。



「ハルヒ…さっき、自分は何も返せていないと言ったが…」



環が口を開いた。



「…はい?」



「俺はお前がいてくれるだけで幸せだから…」

「僕たちもだよっハルヒ♪」

「僕もハルちゃんがいれば幸せだよ〜*」



環の話の途中で双子とハニーの邪魔が入った。



(くそ〜)



そう思ったが、ハルヒが戸惑いながらも



「ありがとうございます」



って言ってくれたからよしとしよう。



本当は



―ずっとオレのそばにいて欲しい―

と言いたかったんだがな。



環はその思いを心に秘めておいた。



…そしていつか言おうと誓った。



   - 終 -
author : あさみさん

Comment
主人公のハルヒがあんまり出てこない話になりました〜;
なかなか寒くなってきたので、初冬の話を…。


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