イマハマダ。


彼女を見てるとたまに思う。

どこまで無垢なのかと。




「・・・なんですか?」

少しうざったさそうに彼女が言う。

「い、いやっ!なんでもないぞ!」

「うわぁ〜殿がハルヒのこと見つめてる〜。」

「きゃー。変態〜。」

「うるさいぞ!そこの双子!!」

いつもの騒がしい部活の時間。

ここには無口な先輩と、幼い先輩。頼れるクラスメイトにいつも一緒な双子。

それと、可愛い女の子がいる。

女の子はみんな可愛いと思う。ふわふわしていて、花の香りが体中をまとっている感がある。


でも彼女は違う。


どこにもこんな花はないと思うほど、白くて純粋な花。

他の何にも染まらない、強い白。


きっかけは借金だったのだが、今はもう彼女も、部員もそれほど気にしていない。

この部活が彼女の一部になってるような気がして。

それが妙に嬉しくて、心地よくて。


「・・・今日は客の入りがイマイチだったな」

鏡夜とハニー先輩がリストを見ながら言った。

「でも最近ハルちゃんの指名おおくなってきたよねぇ〜」

「はぁ・・・。」

「この調子なら結構簡単に借金返せるんじゃない?」

双子が声を揃えて言う。

「そうですか・・・?それならそれに越したことはないですが・・・。」

彼女が軽くため息をついて言った。


心が大きく動いた気がした。

ずっしりと重みがかかって、心はそこから動けなかった。

「殿?どうかしたの?」

馨が言う。

「いや、何でもないぞ?」

少し引きつって笑ってみる。


ひさしぶりにのんびりした部活。双子が大きくあくびをする。

「あれ?ハルヒ〜?何やってるの?」

光が机に座っている彼女を見つけた。

「もうじきテストあるから」

そう言って彼女は教科書をめくった。


「ハルヒは偉いにゃぁ〜。さすが私の娘だ!」

後ろの方では双子が「暇〜・・・」とぶつぶつ言ってる。

「はぁ・・・。別に普通ですよ」

彼女は気にも留めずにペンを走らせる。

「最近はお客も安定してきたらしいし・・・」

「・・・・」

一向にこちらを見ようともしない。

よほど集中しているのだろうか。



「そのうちハルヒは居なくなるのか・・・」



ほとんど独り言のように呟いた。


「いや、それはないと思いますよ?」


ふいに彼女が言った。


相変わらず視線は教科書の上だったが、彼女は軽く笑って言った。

「だってみなさん何かと借金つけてくるし」


彼女が笑っている。


「まだ当分いろいろなことに巻き込まれそうです」

はにかんだように笑っている。

心が、体が、一瞬にして軽くなった。


彼女はまだここに居る。


嬉しさのあまり伸ばした手が彼女の肩に触れようとしたが、指先がピクリと動いただけで、触れることができなかった。


「えーっと・・・。この式が・・・」

そういってる彼女の頭をポンポンと撫でた。

「・・・・なんですか?」

少し軽蔑したようにちらっとこちらを見た。


「お前ってすごいね」


何が?とでも言いたそうな表情を浮かべると、またすぐに目線を元に戻した。


この白い花はまだここに居る。



そして素直な喜びとは別に、都合のいい夢を見ている自分がいる。

誰にも言ってない、やさしく、軽く。少し眠くなるような、そんな夢を。


   - 終 -
author : 玉垣春樹さん

Comment
ほのぼのした環の心境が書きたかったのですが・・・。
なんだかよく意味の分からないものになってしまいました(泣。
でも私としては環とハルヒの微妙な関係が大好きなので・・・許してくださいmm


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