南校舎の最上階。北側廊下つきあたり。

未使用無人の音楽室。



ガチャリ


「すいません、遅れました。・・・・・?」

いつものように図書室に寄って遅れてきたハルヒは、

扉の向こうの光景に目を丸くした。



13日の金曜日(前編)




「・・・・・・・・・・・・?」

明らかにおかしい部屋の様子に、ハルヒは部屋を間違えたのかと

一度外に出てみた。

だが、辺りを見渡しても、この広い廊下に見当たる部屋はここしかない。

ハルヒは目をこすって、もう一度中に入った。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

やはり。ここは第三音楽室だ。

ハルヒは、部屋の中で繰り広げられる異様な世界に

しばし呆然としながら考えた。

「何なんだ、これは・・・・・・・」

扉の向こうはホーンテッドハウスだった。

まるでいつかの誰かさんの別荘の様に、

部屋の隅々まで不気味な装飾が施してある。

昨日までされてあった筈の、まるで御殿のような豪華な内装は何処へ行ったのやら。

今の状態は、何処から見ても立派なお化け屋敷である。

ハルヒが驚きのあまり立ちすくんでいると、奥の暗がりの方からハルヒを

呼ぶ声が聞こえた。

「遅いぞ、ハルヒ。もうすぐ接客時間が始まるから準備に入りなさい」

「き、鏡夜先輩・・・・・・」

ハルヒは、鏡夜がいる方へ歩いていって急いで聞いてみた。

「先輩・・・、何なんですかコレ!」

「?何って、今日のための特別インテリアじゃないか」

「今日・・・?今日って何かありましたっけ・・・?」

「「ヒントは日付だよ」」

ハルヒの質問に答えたのは、鏡夜ではなく

妙にやつれた双子達の声だった。

「光、馨・・・・。どうしたの?」

ハルヒは向こうから歩いてきた双子の姿を見るとそう聞いた。

さっき教室で別れるまで上機嫌で、クラスメイトに悪戯を仕掛けていたというのに。

今は二人ともやけに元気がなく

ツンツンの髪までどことなくしおれているような気がする。

「それが、ひどい目にあっちゃってさぁ」

「これってやっぱ呪いだよな」

双子はうっとうしそうに髪をかきあげながら言う。

「呪い・・・・・?って何の?」

ハルヒはまたもや考え込む。

さっきの鏡夜先輩の言葉といい、今日は何かあっただろうか・・・?

「「だから、13日の金曜日だよ!」」

一向に気づかないハルヒに痺れを切らした双子は、声をそろえて言う。

「ああ!なるほど!」

ハルヒはやっと合点が行ったように大きく頷いた。

だが、また不思議そうに鏡夜に尋ねる。

「でも、何で13日の金曜日だからってこんな部屋になってるんですか?」

すると、鏡夜はにっこり笑いながら答えた。

「ああ、それはだな。黒魔術部が13日の金曜日フェアというのをやっていてね、

無料で部屋をコーディネートしてくれると言うから喜んで頼んだんだよ」

いつもの悪魔の微笑みでそう言ってのける鏡夜を、ハルヒと双子は

恐ろしげに見つめた。

「・・・・こんなのがお客さんに受けるんですか?」

ハルヒが理解できないと言った風にそう尋ねると、

鏡夜はまたにっこりと笑う。

「はは、偶にはこういった物もいいじゃないか?

皆、楽しそうだし」

その言葉を聞き終わるかしないうちに、奥のほうから叫び声が聞こえてきた。

「ぎゃああああああ!!!」

「おや?須王君、なぜ逃げるのですか?

悪魔祓いにはこの人形がいいんですよ・・?」

「なッ、そッ、にッにッ(何なんですか、そのグロい人形は!!)

「須王君はどうやら憑かれやすい体質のようですからね・・・・。

私がこの人形にまじないを掛けますから、これを持ち歩くといいでしょう・・・」

「・・・・・・・!!!!(声も出せない)」

必死に逃げようとする環と、何故か環を気に入って追い掛け回している

猫澤先輩とのやりとりを眺めながらハルヒは呟いた。

「・・・・・・・・・・・楽しそうですか?」

鏡夜はそれには答えず、人事だといったように奥へ行ってしまった。

「頑張ってくれてるなー、殿も」

「だけど、僕らも酷い目に会ったんだから仕方ないよな」

「・・?何のこと?」

どうやら自分が来る前に何かあったんだな、と思ったハルヒは双子に聞いてみた。

すると、二人はウンザリした様な調子で話し始めた。

「それがさぁ、聞いてよ」

「放課後、クラスでハルヒと別れたろ?あの後さぁ」

二人はあの後、二人で音楽室に向かったらしい。

その時はまだ部屋のセッティング中で、二人はそれを高みの見物で

眺めていた。

そこを猫澤先輩に見つかり、環のように追い掛け回されたあげく、

何故か部屋のあちこちに空いている、落とし穴に落ちてしまったらしい。

「・・・・・・・なんで室内に穴が空いてるの?」

「「・・・さあ」」

その後、丁度環が部室に来たので、猫澤先輩に環を売って、

なんとか逃げてきたらしい。

「・・・・・・・・・・・・・・」

ハルヒは、呆れながらもう一度環の方を見やった。

半泣きで、ヒィヒィ言いながら逃げている環を見ると、さすがに気の毒

だという気がするが、やはり自分の身は可愛い。

ハルヒはただ傍観しているだけだった。

(難儀な人だなぁ)

ハルヒはとうとう猫澤先輩に追い詰められている環を見ながら、

のんびりと考えた。





だが、13日の金曜日の悪夢は、まだ始まったばかりである。


 後編→
author : どらどらさん

Comment(前編)
えっとですね、とりあえずジェイソンは出てこないと思います。
前編だけじゃ話が分かりませんが・・・・・。
後編はちょっと環×ハルヒにしたい!
とか思ってます・・・・。無謀・・・・。
つまんない話になる事は確かです・・・(あかんやん!)

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